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イベント・カンファレンス事例 「Femtech Fes!2022」
「タブーをワクワクに変える」プロダクトに触れられる「Femtech Fes!2022」が開催。

イベント概要

名称

Femtech Fes!2022

開催期間

3日

利用会場設備

ラウンジ49、タワーホール、オーディトリアム、スカイスタジオ、コラボレーションルーム 1+2

会場利用イメージ

fermata株式会社CCO中村寛子氏

2022年10月14日~16日の3日間にわたり、fermata株式会社主催による最新フェムテック製品との出会いを生むイベント「Femtech Fes!2022」が開催されました。2019年に開催された初回から数えて、リアル開催は今回で3回目。33ヶ国から200以上のプロダクトを集め、来場者も2,900名と大きくその影響力を広げました。本イベントへの想いとこれから目指す未来について、fermata株式会社CCOの中村寛子氏に伺いました。
※FemTech(フェムテック):Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた言葉で、女性が抱える身体的・社会的な課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのこと。

今を生きる女性のウェルネスを考えるきっかけを提供したい。

開催背景

「Femtech Fes!」への想いとは?また、今回の開催への手ごたえは?

世界中の最新フェムテック製品に直接触れ、女性のQOLについて話し合い、気づきを得ていただくきっかけづくり。それがこのイベントの目的です。「あなたのタブーがワクワクに変わる3日間」というテーマを掲げ、実際に手に触れられて、作り手の想いを直接聞けるオープンな場づくりを心がけています。製品を購入するだけなら通販という手段もありますが、リアルでのイベントだと大きさや手触りなどもわかり、自分が使えるかどうかの判断もつきやすくなりますよね。また、友人同士で来場されれば、目の前にある製品や、それが扱っているニーズについて話題にしやすくなり、ウェルネスを知る・語るきっかけづくりもできる。いわゆるタブー化してしまっている分野の悩みでも、この場所ではむしろワクワクしながら見たり、話していただきたいな、と思うんです。そんな空気感を含めた場づくりは、リアルイベントでしか実現できません。

今回の開催では、3日間を通じて2,900名の方にご来場いただき、昨年の1,500名を大きく上回りました。主な層は30代の方々で、10代から70代の方にまで来ていただき、この分野への関心を持つ方々の裾野の広がりを感じています。また、男性の参加者も増加傾向にあります。カップルでの参加はもちろん、バギーにお子さまを乗せてご家族で参加される方もいらっしゃいました。女性だけでなく、問題を自分事として考える方々が増えつつあり、着実に理解が広まっているのを実感します。何よりも嬉しかったのが、来場者の6割以上の方が知人や友人の方からの口コミで弊社のイベントに参加したとアンケートにお答えいただいたこと。私たちfermataのイベントに対しての期待も感じられました。

パートナーとしてご協賛いただいた企業の方々からも好意的な反応をいただけています。各社さまとイベント成果の振り返りをご一緒しているのですが、特に反応をいただくポイントが、熱量の高いユーザが多く集まった点です。当事者意識の高い来場者とのお話やアンケートから、他のイベントでは拾えないインサイトが得られたとご評価いただいています。ともに事業を推進する立場の私たちとしても、イベントで得られたインサイトが、今後どんな新たなサービスや製品へと反映されていくのか楽しみです。

出展者と来場者が気軽にコミュニケーションが取れるオープンな空間。3日間で2,900名の来場者が訪れた。

カメラ写りへの意思をステッカーで表示。来場者の心理的安全性を高めるために考えられたプライバシーポリシーの形。

海外の登壇者の姿勢を目の前で感じられることで、日本・アジアのフェムテック市場を考え、育む土壌が生まれる。

会場間をつなぐ通路に展示された体内分泌物質セロトニンの顕微鏡写真。知っているようで知らない、自分の心身を考えるきっかけの提示。

様々な製品を前に、作り手と来場者が当事者として意見交換を交わす光景がそこかしこで見られた。

解放感のある場の力。想いに寄りそう担当者の存在。

会場の選定理由

六本木アカデミーヒルズを会場に選んだ理由は?

本イベントの会場探しの時点では、テーマである「フェムテック交差点」となる場所を求めて、いくつもの候補をあたっていました。その中でも、六本木アカデミーヒルズは天井が高く会場の解放感があり、フェムテックで扱う話題を圧迫感なく話し合える空間だと感じていましたので、有力な候補として検討していました。利便性だけで考えれば渋谷という選択肢もありましたが、より裾野を広げていくことを考えると、六本木の方があらゆる属性の方にとってアクセスしやすいのではと考えました。
当初はセクシャルウェルネスに対してどういう反応を持たれるか懸念がありましたが、会場の営業担当の方々とお話する中でその懸念も一気に溶けていきました。私たちの想いをオープンマインドに聞いていただけただけでなく、イベント会場の専門家という立場から有益なアドバイスもいただきました。たとえば会場の天井高に対して展示する製品が比較的小さいため、会場にある什器ではなく、高さのある什器を取り寄せて空間を有効に活用する案や、お客様の見る空間からワクワクさせるためにバルーンを浮かせるなど。やり取りを進める中で、私たちの持つ理想の世界像を一緒に実現しようと思ってくれているのを感じましたね。こちらが感じている不安を投げると、何かしらの案を返していただけるので頼りにさせていただきました。昨年に引き続き今年も六本木アカデミーヒルズを会場として選んだのは、こうした人に関する要素も大切だと考えたからです。

何かと比較することなく、fermataの想いを届けていきたい。

今後の展開

「Femtech Fes!」が目指す今後の展開は?

今後の展開のうちのひとつとしては、来場者の方々の体験価値を高めていければと考えています。家に気付きを持ち帰っていただき、選択肢を増やしていただくための工夫は考えていきたいところです。各製品の作り手の想いを聞いて回るツアーの新設や、試用・試着コーナーなどの充実。また、試す以外にも製品の価値を五感で感じていただけるような案も検討しています。イベントではきっかけの提供までしかできませんので、その先の暮らしのデザインにも関わっていくことができないか、とイベント後のフォローまでを考えたりしています。

また私たちが大切にしていることの一つに、プライバシーポリシーの問題があります。イベントでは、意に沿わない写真への映り込み問題がありますよね。今回はその対策として、マスクシールによる意思確認というアイデアを取り入れました。直接言葉を交わさなくても視覚的にご本人の意思が伝わるため、有効な打ち手になったと思います。今後も、プライバシーポリシーについては第三者の指針を満たして満足するのではなく、私たち自身が安心できる内容を検討し、より徹底していきたいとも考えています。心理的にも安心した場所がつくれなければ、心地よく皆様にイベントを楽しんでいただくことはできないと考えているからです。

「Femtech Fes!」は、世界でも唯一のイベントを開催していると、海外からの出展企業様からも評価いただいています。私たちfermataはイベント企画を専門としているわけではなく、イベントをきっかけに市場そのものを創出することを目的としています。私たちfermataのこうした姿が来場者の方々に伝わり、期待感や口コミが生まれているのではないかと感じています。だからこそ、大切にしたいのは私たち自身の想いの追求です。どんなイベントにしていきたいのか?来場者の方々に、出展者の方々にどんな価値を提供していきたいのか?またこのイベントを通じて社会をどうしていきたいのか?各種法律や国内外の動きも注視しつつ、とは言えそれらに過度に振り回されることなく、自分たちの想いをきちんと探り一つひとつ形にしていくこと。簡単なことではありませんが、こうした姿勢が来場者の熱量を生んでいくのだと信じています。

PROFILE

中村寛子 fermata CCO

Edinburgh Napier University (英)卒。
専攻はBusiness Studies with Marketing。グローバルデジタルマーケティングカンファレンス、ad;tech/iMedia Summit を主催している。dmg::events Japan 株式会社に入社し、6年間主にコンテンツプログラムの責任者として従事。2015年にmash-inc.設立。女性エンパワメントを軸にジェンダー、年齢、働き方、健康の問題などまわりにある見えない障壁を 多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かすダイバーシティ推進のビジネスカンファレンス「MASHING UP」を企画プロデ ュースし、2018年からカンファレンスを展開している。