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イベント・カンファレンス事例 「SHARE SUMMIT 2019」
共創・共助の経済を目指す、⽇本最⼤のシェアリングエコノミーの祭典

イベント概要

名称

SHARE SUMMIT 2019

開催期間

1日

利用会場設備

メインホール、ホールA、ミーティングルーム1,2

会場利用イメージ

一般社団法人シェアリングエコノミー協会 石山アンジュ氏

変革期を迎える日本社会において、テクノロジーを活用したシェアリングエコノミーが徐々に浸透し、個人のライフスタイルや企業のビジネス戦略が変わりつつあります。共創・共助を軸にする新しい経済社会を目指す一般社団法人シェアリングエコノミー協会の事務局長の石山アンジュさんに、SHARE SUMMIT 2019開催の背景からイベント企画、そして次なる打ち手についてお聞きしました。

日本型シェアリングエコノミーの実装に、
大企業の参画が不可欠

開催背景

シェアリングエコノミー協会にとってSHARE SUMMITの役割とは? 虎ノ門ヒルズフォーラムで開催しようと思った背景は?

個人が主体でありながら、人と人とが互いに手を差し伸べて、既存社会の課題を補っていく- そういう循環型の社会モデル「シェアリングソサエティ」を掲げて、2016年に設立されたのがシェアリングエコノミー協会です。設立以降、シェアリングエコノミー事業の法的整備や自治体での導入、この分野での起業家の輩出などを支援するために活動してきました。

実社会では、シェアリングエコノミーという言葉はここ2、3年ほどで全国的な認知を得て、様々なシェアリング事業者がプレイヤーとして市場に参入。各々のシェアリングサービスが日常に浸透し始めています。ただ、シェアリングソサエティという壮大なビジョンを目指したとき、シェアリングエコノミーの可能性に共感する仲間がもっと必要だと自覚しています。そこで私たちは、ホストになり得るユーザーや、プラットフォームを目指すシェアリング事業者、パートナーになる大企業などが一堂に集うことのできる場として、サミットと題した大規模なイベントを今まで3回実施してきました。

イベントは、『私もできそう』という前向きな意思を引き出すのはもちろん、その意思を持った人同士をその場で繋げて、実際のアクションへの橋渡しをサポートします。アイデアだけではなくアクションが伴ってこそ価値があると思うので、アクションを後押しできるイベントには大きな可能性があると感じています。

4回目の開催となった今年のSUMMITは、私たちはシェアリングエコノミーの社会実装を加速させることを念頭に置いて準備を進めてきました。シェアリングという概念が普及し、次のフェーズ、つまり社会実装を見据えたとき、豊富なアセットを有する大企業なしには実現し得ないと感じたんです。そこで、これから新たなチャレンジを考える大企業を巻き込みながら、スタートアップを下支えしていく、しかも産業セクターを越えて。その考えを昇華させる、「Co-Economy」というコンセプトを設定しました。同時に、彼ら大企業を確実に巻き込むために、彼らが参加し易いイベントにすることを要件とし、開催地を探すことにしたんです。

その中で、レガシーを守りながら新しいものを取り込んでいく、虎ノ門ヒルズの持つ先進性に惹かれました。また、開発主である森ビルのブランドイメージも決め手のひとつになりました。森ビルは、グローバル企業やスタートアップ、アートやテクノロジーといった多様なステークホルダーと繋がっているため、今回の「Co-Economy」というコンセプトに合致していると判断したんです。

出会うべき人同士を会期中に繋ぎ、多忙で不参加のキーパーソンには詳細なレポートでフォローアップ

イベント企画

「大企業や自治体と、シェアリング事業者の出会い」を生むために、イベントで工夫していることは? またその成果や手応えは?

シェアリングエコノミーへの共感を通じて、大企業や行政と、スタートアップを繋ぎ、提携に持っていくのが最重要ミッションでした。そのために工夫したことは大きく3つあります。

1つ目は、異なる業界が交じり合うプログラム構成です。登壇者同士、また来場者同士が普段は会えない、話さない人と繋がるために、メインプログラムであるパネルディスカッションでは、起業家、国会議員、コンサルタント、国家公務員・首長、大企業の新規事業担当等、多様な人材を配しています。たとえば、Key – Sessionは、CCCの増田代表、ココナラの南代表、都副知事の宮坂氏、そして『WIRED』日本版編集長 松島氏という豪華な登壇者が魅力ですが、予定調和にならないようにキャスティングには気を配りました。

2つ目は、集客です。まずは友人・知人を介してお声がけしたり、各業界団体から案内してもらったりと、広告だけに頼らず空中戦・地上戦を組み合わせて情報拡散を図りました。また、肝心なのは、イベント後に各スポンサー企業の経営陣に、協賛の成果が評価され、シェアリングエコノミーに関わる新規事業への前向きな機運を高めることです。そのため、スポンサー企業が社内検討しやすいようシェアリングエコノミーの可能性をまとめたレポートを作成し、1社1社にお届けしました。

3つ目は、クローズドなマッチングイベントです。お昼の時間帯に、会議室を貸切って、招待制のマッチングイベントを実施しました。シェアリングエコノミーに関心のある自治体とシェアリング事業者を集め、各社の面談が進むようにコーディネートしたんです。

豪華な登壇陣による予定調和でないパネルディスカッションは、来場者にインスピレーションを提供。

シェアリングエコノミーへの期待を表すかのように、多くの企業が協賛している。

自身もシェアリングエコノミー企業への投資家である本田圭佑選手よりメッセージ動画が披露された。

災害大国という日本の使命にフォーカスしたセッションも展開。

賑わいを見せるブースエリア。段ボール箱式ブースは、来場者に親近感を抱かせる。

パーカーやTシャツをユニフォームにするイベントが多い中、シャツを採用。

その他、ブースエリアでは、リユースできるものは使おうというシェアリングエコノミーらしい発想で、今回初めてブースに仕立てることのできる段ボール箱を用いて、会場の設営をしてみました。

虎ノ門が発信地となって、全国に向けて発信

「SHARE SUMMIT」の次の手

SHARE SUMMITの今後の展開について教えてください。

今回、登壇者たちに社会実装に向けたアクションを宣言してもらったので、次回はその後の進捗や成果を振り返れる場にしたいと構想しています。もちろん振り返るだけでなく、何が課題だったのかを共有し、今後どうしていくべきかを一緒に語り合えるようにしたいですね。また、シェアリングエコノミーは地方が主戦場という側面もあるため、全国へのライブ配信も実施したいことの1つです。

あとは、色々な事業体に参画してもらい、イベントを一緒に盛り上げるという意味でブースエリアは重要なのですが、一般的に人が滞留しにくいのも事実。そうした時、飲食が滞留のきっかけになるという仮説のもと、ブースを回りながら飲食可能なエリアを設置することを、会場側に許可いただけると嬉しいですね。

SHARE SUMMIT 2019 の成果として、実際に複数社で提携に向けて話が進んでいると聞いています。未来に向けたアクションが最重要だと思うので、イベントを通じてそういう進捗に繋がっているのは誇らしく思います。また、感覚的な話ではありますが、多くのスポンサー企業に満足いただきながら、同時に参加者や登壇者がワクワクするようなプログラムにできた手応えを感じています。スポンサーを配慮するばかり、本来アドリブが鍵となるパネルディスカッションなのに原稿がほぼ出来上がっているといった話はよくありますよね。ただ、それは参加者のみならず、回りまわってスポンサーにも良くないことではないでしょうか。今回は、ある程度の方向性は事前に決めながら、あとは登壇者に任せて自由な議論を促しましたが、産業セクターの異なる人同士のパネルディスカッションということもあって、予想していなかった、けれど非常に示唆深い話を聞く機会を作れたように思います。

PROFILE

石山アンジュ 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長

1989年生まれ。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。2012年国際基督教大学(ICU)卒。新卒で(株)リクルート入社、その後(株)クラウドワークス経営企画室を経て現職。 シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。総務省地域情報化アドバイザー、厚生労働省「シェアリングエコノミーが雇用・労働に与える影響に関する研究会」構成委員、経済産業省「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」委員なども務める。2018年米国メディア「Shareable」にて世界のスーパーシェアラー日本代表に選出。ほか NewsPicks「WEEKLY OCHIAI」レギュラーMC、拡張家族Cift メンバーなど、幅広く活動。著書「シェアライフ-新しい社会の新しい生き方(クロスメディア・パブリッシング)」がある。

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