TORANOMON REPORT|虎ノ門ヒルズフォーラム
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虎ノ門プロジェクト レポート イベントのプロが教える、
大規模イベントを成功に導くための大前提

ホットスケープ 代表取締役 前野伸幸氏

イベント企画から当日の運営までをサポートするイベント会社、ホットスケープ。顧客の8割近くがリピートユーザーという、満足度の高いサービスはいかにして生み出されているのか。代表取締役の前野伸幸さんに、イベントを成功に導くための基本や会場選びの秘訣について教えてもらいました。

企業がイベントを主催するにあたって、まず何が大事なのでしょうか。

そもそも何のために企業がイベントを実施するのか、そのKPIの設定が最初に必要です。社内でそこをとことん詰めないと、『来場者は多かったけど、これで成功だったのか?』というようなところに立ち返ってしまうことになります。

ビジネスイベントを実施する目的には4つあると考えています。「マーケティング」「ブランディング」「エンゲージメント」「リクルーティング」の4つです。この4つのどこに向けてイベントをやっていくのか、そこをしっかり考える必要があります。最近は、会場内の活気や参加者の満足度がどのくらい大きかったか、どれだけ熱量を生み出せたかという「エンゲージメント」に注目されるケースが増えている印象です。例えば、スタートアップ企業では、社員の帰属意識を高める「インナーのエンゲージメント」を目的に含むイベントを実施するケースも増えていますね。

もちろん、イベントの目的をどれか1つに絞り込むのではなく、これら4領域を組み合わせるケースもあり、その場合はどうバランスを取っていくのかも重要です。そして、プランを詰めていくうちに、これもあれもといった要望が社内からどんどん出てきますが、イベント開催の目的に沿わないものは強い意志をもって排除していく必要があります。そうしないと目的がどんどんズレてしまい、イベントは失敗への道をひた走ることになるわけです。

収支のバランスに合わせて、
フレキシブルに対応することが肝

実際にイベントを開催する際に、直面する課題とは?

イベント参加者が100人くらいまでは、主催者側が自分たちの手弁当感覚、つまり社内のリソースでなんとか回せてしまう規模です。これが300人、500人規模のカンファレンスとなると、難易度が数段上がる。開催に必要な金額がグンと大きくなるうえ、収支のバランスを見ながら、プログラムや会場構成、スポンサー確保、集客等を組み立てていかないといけなくなるんです。社内で完結させようとすると、仕事量のボリュームがあまりに大きくなってしまう。そこで専門知識を持つ外部企業へ相談しよう、アウトソーシングしようという流れになることが多いんです。その感覚は、主催者がスタートアップであれ大企業であれ変わりません。当社へ依頼が舞い込み始めるのも、300人、500人規模でのイベントあたりからですね。

一方、規模にかかわらず、イベントへの集客自体はSNSなどを駆使すればやりやすい時代です。イベントの開催告知に始まり、登壇者やセッションのラインナップを少しずつ公開して注目を断続的に喚起したり、イベントの主催者や登壇者のインタビュー記事をイベント前後に拡散したり……SNS時代のイベント集客策は確かにあります。集客の点では、申込みが早ければ早いほど得をするように、段階的なプライシングを設定するケースも増えています。

大規模になると難易度が上がるポイントは、集客や登壇者確保以外の、会場の使い方やプログラム構成の仕方、予算管理、スポンサー対応のノウハウといった部分ですね。とりわけスタートアップの場合は、数あるステイクホルダーのなかでも、スポンサー対応がキモになります。なぜなら、イベントを実施するにあたってまず会場を決める必要がありますが、その費用の収支を合わせるために、スポンサー確保が不可欠だからです。よって、主催者側がスポンサーに喜んでもらうポイントを見極め、同時に参加者の満足度を考慮しながら、イベント構成に落とし込んでいくことが大切です。会場に専用ブースをつくる、説明資料を配布する、あるいはスポンサーのセッションをセミナーの中で用意する……ニーズに応じたメニューをいかに提供するか、です。

スタートアップの場合は、イベント開催のための最低限の予算を把握しつつ、スポンサー獲得状況に応じて段階的にメニューを検討した方がいいと思います。この時期までに相応のスポンサーを確保できれば、こんなプログラムを用意しよう、といった形で、予算とスポンサー獲得のバランスに合わせてイベントをフレキシブルに決めていけばいいのです。

「社員巻き込み型」が、
大規模イベントという”祭り“を成功に導く

準備に大変な思いをしても、大規模イベントを開催するべき理由とは?

特にエンゲージメントの意味合いでの効果は大きいですね。さまざまな業種のイベントを担当してきたなかで、私たちがイベント主催者に推奨しているのは、少しでも多くの社員に参加してもらうことです。

「社員巻き込み型」だと、社員の当事者意識が高まるし、会社へのロイヤリティも高められます。大規模イベントはある種の「祭り」なので、事前の準備過程に始まり、会期が終了したときの達成感もとても大きい。会社への一体感、社員同士の連帯意識の醸成につながるんです。 また、経営者や社員が登壇者となることにも効果があります。プレゼンテーションやパネルディスカッションにあたって、会社のビジョン、自身の業務や働き方を棚卸して言語化するいい機会だと思います。

それらを踏まえると、たとえば社員旅行に行くよりも、社員を積極的に巻き込んだ大規模イベントを実施したほうが、社内のエンゲージメントを高めるという意味では大きな効果が出るのではないでしょうか。

ホットスケープが手掛ける大型イベント「BACKSTAGE」

イベントをどこでやるか、
それがブランディングに大きく影響する

会場選びでポイントになるのはどういった点でしょうか。

規模が大きくなってくると、会場を確保するのが何よりも大変になります。実は、2018年くらいから、会場を押さえにくくなっています。たとえば300人以上の規模の会場を、自分たちのやりたい日程、曜日で押さえようとすると、1年くらい前から動かないといけません。

当社へのオーダーでも、都内ならどこでもいいというのではなく、例えば、虎ノ門ヒルズでやりたい、のようにエリア・施設を指定するケースが多いです。特にビジネス系のイベントだと、虎ノ門ヒルズはトップランクに位置しているのではないでしょうか。BtoBのイベントをやるなら虎ノ門でしょ、という流れを感じます。これが渋谷だとBtoCのイメージが濃くなります。

やはり、イベントをどこでやるかがブランディングに大きく影響します。本業での実績がまだこれからで、イメージを固めていく段階のスタートアップの場合は特にそうでしょう。また、場所次第でスポンサーの集めやすさも左右される点は見逃せません。あの場所でやるんだったら面白いイベントに違いない、といった期待値の醸成にもつながりますからね。さらに、登壇陣含め、参加者がアクセスしやすいというのも重要ポイント。イベントの成否を図る指標の1つに歩留まり、つまり出席率の高低がありますが、この歩留まりに影響するんです。虎ノ門ヒルズフォーラムを利用する背景には、地域のイメージの良さに加えて、この歩留まりの高さにもあります。

会場の使い方も時代とともに変わります。最近では、パネルディスカッションや、セミナーだけというパターンが減り、様々な構成を組み込んだ複合型が増えている印象です。メイン会場のほか、展示コーナーを設けたり、カンファレンス終了後の懇親会やネットワーキングの時間を確保したり、あるいは、別会場で小規模だけど登壇者と熱量の高いセッションを開催するなど、様々です。
参加者が回遊しやすく、スポンサーにも満足いただける、そして企業のメッセージが伝わることを追求して、ますますプログラムは多様化していくと思います。虎ノ門ヒルズフォーラムのように大小複数の会場を使い分けられる施設は多様化するプログラムへの対応がしやすいですね。

PROFILE

前野 伸幸 株式会社ホットスケープ 代表取締役
BACKSTAGE 実行委員

27年前の独立起業当初より、多くの大手企業からのミーティング・インセンティブ・各種セミナー・イベントをクライアントから直接受注。
企画・進行・運営をワンストップで数多く手掛け、これまで2500本以上のイベント・セミナーの企画・運営・進行に携わる。
その一方で、イベント施設・MICE 施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。
虎ノ門ヒルズフォーラムの設備・運営のコンサルタントを自らが担当し、さらにホットスケープは、六本木アカデミーヒルズもあわせて施設の運営・管理業務、営業部門の一部を受託。現在では、表参道ヒルズ・ヴィーナスフォート・ラフォーレ原宿といった商業施設のメディア営業部門の一部も担当。
またIR 関連では、ラスベガス・シンガポール・マカオ・韓国など海外のイベントや展示会にも多数参加。
昨今はMICE関連やIR(カジノを含む統合リゾート)に関する講演も多数。

広告メディア・施設の複合利用例