TORANOMON REPORT|虎ノ門ヒルズフォーラム
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虎ノ門プロジェクト レポート イベントのプロたちが考える、
「ビジネスイベントの未来、そして虎ノ門ヒルズフォーラムの可能性」

写真左から ※敬称略
イベントレジスト 代表取締役/CEO ヒラヤマコウスケ / 未来予報 共同代表 曽我浩太郎 / INTO THE FABRIC 代表理事 高嶋大介 / 森ビル アカデミーヒルズ事業部フォーラムグループ課長 倉橋慶次

虎ノ門をベースに活動を開始したコミュニティ「イベミラ」。今回、発足時から「イベミラ」を支えてきた主要メンバーであり、イベントのプロでもある4人に、これまでの経緯や懸ける思い、また虎ノ門エリアの特色について語ってもらいました。

※「イベミラ」とは
「イベントの未来をつくる105人」の略称。「イベミラ」は、時代とともに進化していくイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポートしていく、5年後10年後の未来を探るコミュニティ。

虎ノ門で、文化を発展させるためのコミュニティをつくりたい

「イベミラ」はどのように始動したんでしょうか?

倉橋
きっかけは、2018年の年明け、ヒラヤマさんに私の頭の中のコミュニティのイメージラフをお見せしながら説明したところからです。当時の虎ノ門は文化的発信が少なかった。このため、地域やエリアの持続的発展を考えれば、ビジネス的な側面だけでなく、文化やコミュニティ的な面も考慮していく必要性を感じていました。5年後、10年後を考えたときに、虎ノ門界隈をいろんな発信やアクティビティが生まれる拠点にしたい、そういうことを生み出す人が集まる・育つ場にしていきたいという思いがきっかけです。
ヒラヤマ
普段、私はイベントのマーケティング管理ツール・Eventregistをイベント主催者に提供する会社を率いていますが、2016年から虎ノ門ヒルズフォーラムでBACKSTAGEというイベント/マーケティング関係者向けのカンファレンスを開催しています(詳細はこちら)。イベント主催者や、さまざまな業界のイノベーターに、知られざる舞台裏についてお話いただくカンファレンスです。海外だとそういったイベントテック的なカンファレンスは珍しくないですが、日本には見当たらなかったので、自分たちで手を挙げ、ここ虎ノ門ヒルズで開催してきました。

同時に、虎ノ門ヒルズで開催するイベントを、虎ノ門自体の地域ブランディングにつなげたい、そんな思いはかねてからありました。この8月で4回目を迎えるBACKSTAGEに限らず、虎ノ門エリアで文化を発展させたい、という話は各所でしていたんです。そこにコミュニティを広げていこうという機運が重なり、「イベミラ」を立ち上げるに至りました。
倉橋
BACKSTAGEは「Ingress」や「ポケモンGO」を仕掛けたナイアンティックの村井説人さんや須賀健人さん、AR技術の魅力をいち早く伝道してきたAR三兄弟の川田十夢さん、ネット広告をリアルタイムで取り引きする仕組みを日本で最初に事業化したフリークアウトの本田謙さんといった先端的な人たちが集まって、ある種のお祭りのような状況でした。よりエリアに根ざしたイベントへと育てていくために、「イベミラ」がBACKSTAGEを始めとするイベントに有力な人を供給し、どんどん人の循環が生みだせるような存在になれたらと感じていました。
曽我
私は、SXSW(サウスバイサウスウエスト)をはじめとする国内外のビジネス×テクノロジー系のミートアップやコミュニティに集まるイノベーター達のビジョンを分析し、企業に未来像として提供するコンサルティングを行う未来予報という会社の共同代表をしています。SXSWにおいては2019年より日本のRepとしての役割も担っています。その立場から、BACKSTAGEの1回目に登壇しましたが、そのときの雰囲気がとても良かったんです。カンファレンスの参加者と運営者がいい意味で渾然一体になり、まるでフェスティバルのようでした。SXSWの雰囲気にも似ていて、あまり日本のイベントでは目にしない様相でした。こういったBACKSTAGEのようなイベントやカンファレンスを、もっと日本でも増やしたいと思って「イベミラ」への参加を決めました。
高嶋
私は、場作りで働く人の気づきをあたえる活動をする、一般社団法人INTO THE FABRICの代表理事をしています。私が「イベミラ」と出会ったときは、まだスタートしたばかりで、熱量はあるけれど、5年後のビジョンも具体的に描けていない時期だったと思います。個人的には、港区で100人カイギというコミュニティイベントを始めた経験があったので、それを活かせるんじゃないかという思いがありました。100人カイギのコンセプトは、街で働く、のべ100人の話を聞く、というもので、いまでは全国20地域以上に広がっています。毎回コミュニティが無いところからのスタートになります。「イベミラ」でも、ゼロベースのところからビジョンやコミュニティを新しく作っていく段階で、ぜひチャレンジしたいと思いました。

実際に「イベミラ」を始めてみてどうでした?

倉橋
2019年1月から、ほぼ月1回ペースでイベントを主催しています。専門知識をお持ちのスピーカーを招いた勉強会や、地方が抱える課題をワークショップ形式で議論する「#LOCAL Meetup」など。曽我さんをゲストスピーカーとしたときは、SXSWアフターストーリーとその本質というテーマで議論しました。

参加メンバーは順調に増えていますが、皆さんそれぞれがコミュニティの中心で活躍されているので、判っていたことですが相当にお忙しくて。場とか状況を作り出して行くためには、継続的で熱量のある活動は欠かせません。次々とイベントや表現が産まれてくる、自走するコミュニティにしていくため、皆さんと相談しながら、次のフェーズにどう臨もうかと思案しているところです。
ヒラヤマ
大きなカンファレンスなどは、年1回ペースでの開催が一般的ですが、コミュニティを活性化していくには、それでは全然足りません。中心メンバーだけが音頭を取る仕組みでは、ペースアップにも限界があり、参加者を当事者として巻き込んでいくようにしないと裾野の拡張は難しい。「イベミラ」は、誰が中心というよりも、参加メンバーそれぞれが登壇したりイベントを企画したりと……ブロックチェーンのような自律分散型のアプローチを採っており、いろいろな仕掛けが同時多発的に進んでいます。このアプローチであれば、コミュニティを活性化していける実感があります。

虎ノ門はまだエリアのイメージが無いからこそ、
新しいイメージや文化がつくれる

イベントのプロが考える、虎ノ門の「地の利」とは?

曽我
「イベミラ」に関わるまでは、虎ノ門に仕事で来たことはあっても、街に対する具体的なイメージは特にありませんでした。一方で、イメージがない分、むしろ新しいイメージや文化を創りやすいのではないかとも思いました。都内でも、こんな無色に近いところはあまりないと思います。

これから色をつけていける、その余白がむしろ楽しいなと思います。虎ノ門は官公庁が近いから、彼らとスタートアップをマッチングさせるとか、数の多いテレビ系やデザイン系の会社と組んで、各社のクリエイターが交流する企画を仕掛けるというのもアリでしょう。アメリカやスペインなどの大使館も周辺にたくさんありますから、国際ビジネス新都心としての色を強めていってもいいですね。
高嶋
たしかに、虎ノ門は色を感じず、言い換えれば、いろんな色に染まる可能性を秘めています。コミュニティについても同様で、虎ノ門ではまだそれほどコミュニティが発達していないから、周囲を巻き込むようなコミュニティを最初につくってしまえば、トップランナーになれます。もし同じことを渋谷でやろうとしたら飽和状態で、似たようなものがすでにたくさんあります。虎ノ門は「イベミラ」を中心に、いろんなコミュニティや地域、まちづくりの新しい形をつくれる可能性があると感じています。虎ノ門の色付けを「イベミラ」で推進していけたら素敵です。

そもそもイベントは、社会課題や個人の思いを世のなかに問いやすいアプローチですよね。その結果、マーケティング効果を生むかもしれないし、ファン獲得になるかもしれない。それこそ採用につながるかもしれない。イベントから生まれるこうしたさまざまなメリットを、ノウハウと併せて、もっと外部に対してわかりやすく伝えていけるようにしたいですね。

イベントのプロの視点から、虎ノ門ヒルズは使いやすいですか?

高嶋
施設自体、全体的に使いやすいですよね。2層にわたるフォーラム、広場、そしてカフェがあり……といった具合に大きいものから小さいものまで揃っています。やりたい企画やイベントによって使い分けられるのはいいですね。虎ノ門ヒルズだけでいろんな選択の余地があるので、複数のイベントを同時多発的に、という場合にも対応可能ですし。移動を少なくできるメリットもある。行ったり来たり……は結構なコストになります。
曽我
実際、先日実施したイベントでは、虎ノ門ヒルズ内外でイベントのはしごが起きていました。どこかにちょっと顔を出して、また戻ってきて……ということも気軽にできます。ビジネスとカルチャーのクロスオーバー、たとえばオーバル広場でヨガに参加してからカンファレンスに行くということも可能ですね。
ヒラヤマ
通信環境がほかと比べてかなり整っている印象です。回線もつながりやすくて安心できる。施設のスペックとしてはできるはずのことが、実際にスムーズに運用できる場所って意外と少ないんです。そうなると実験的なイベントを試そうとしても、リスクが大きすぎて実行に移せませんが、このフォーラムは通信・デジタル環境が総合的に整っているから、そのようなイベントも実施しやすい場所になっていると思います。海外はそういった施設や会場面のインフラがかなり整っている。むしろ、そうした環境ありきでユニークなイベントが成り立っているとも言えます。

カチッとしすぎない余白が、イベントを面白くする

今後、虎ノ門エリアでどんなイベントを仕掛けるのが相応しいでしょうか。

ヒラヤマ
海外だと、ビジネスカンファレンスでもアフターパーティに著名なミュージシャンをゲストに呼んだりするのが珍しくないです。みんなそれを楽しみに集まってくるし、そこで盛り上がってネットワーキングが促進されます。エンタメ業界側にもビジネスカンファレンスを市場と捉えてもらって、一緒に盛り上げていけたら、イベントの様相はまた変わるはずです。エンタメとの融合は1つのキーになると思います。
高嶋
ミーティングルームじゃない場所をうまく使えるようになると面白くなりそうです。たとえば、サウナや喫煙所といった休憩コミュニティのようなオンとオフが交錯する場所だと、コミュニケーションって活発化しやすいんです。働くと休む、働くと遊ぶというふうに、働くことと別の何かが同時に作用すると、感度や視座が高まるんですね。何らかオフの空間のようなものをうまく入れ込めれば、結果としてビジネスとしてもうまく機能してくるんじゃないかなと考えています。ビジネスの街としての顔が強い虎ノ門エリアも同じで、うまくオフを作れる場所をイベントで用意できると面白くなりそうです。
曽我
SXSWも、カンファレンスとフェスティバルという2つの側面があり、そこが非常に重要だと言われています。昼と夜の顔の使い分けがミソになっているんですね。オンとオフの例のように、短時間でそういった境界を行き来できたら最高じゃないですか。虎ノ門ヒルズには大小さまざまなスペースがそろっているし、新虎通りまで入れたら飲食店もたくさんありますから、そういうのも組み合わせてオンとオフを軽やかに飛び越えることが同時多発的に起こるような仕掛けはできそうです。
倉橋
雑然としながら常に人の出入りがある、言わば部室のような役割をもった場所を作っても面白そうですね。ビジネス向けのカチッとした場所や、用途が明確なスペースばかりだと、それこそ余白がなくて行き詰まる気もします。

虎ノ門ヒルズフォーラムとしては、様々なことがトライできる場所、ネットワークが生まれる場所を目指しています。いろんな人が集まって、課題を解決し合える場になったらいいなと思いますね。

PROFILE

ヒラヤマ コウスケ イベントレジスト株式会社 代表取締役/CEO
BACKSTAGE 実行委員長

米国でベンチャー企業立ち上げに参画、副代表を務めた後帰国し2000年に Yahoo!JAPAN に入社。
Y!ショッピングのプロデューサとして、Y! ブックスのサービスなどの立ち上げを行う。
2001 年よりマイクロソフトでリッチメディア広告部門の立ち上げ、2007 年からは Google でニューメディア ストラテジー/オペレーションチームマネージャーとして YouTube の広告部門の立ち上げを担当。
その後2009 年にTBS 関連会社goomo 株式会社の設立に参画し、WEB プロデューサ、およびTV 番組プロデューサとしてもメディアの枠を超えた新しい領域を活用したプロモーションを手掛け、2011 年イベレジ創業に参画。

曽我 浩太郎 未来予報株式会社 / VISIONGRAPH Inc.
代表取締役

大手広告制作会社にて日産やSONYなどのキャンペーンやブランディング動画・アプリなど広告賞受賞作品を多数プロデュース。
その後、経営企画・事業開発を経験した後に退職。
2016年にイノベーションリサーチに基づく戦略デザイン会社 「未来予報」を立ち上げ、クラウドファンディングで1000万円を超えるスタートアッププロダクトのプロデュースや、大手企業研究所のビジョン構築サポートなど、事業構想段階から製品デビューまで、長期的にプロジェクトにパートナーとして関わる。
2013年より世界最大級のビジネスイベントSXSWに渡航し、2019年にSXSW Japan Officeを設立。
2017年7月にインプレス社より書籍『10年後の働き方「こんな仕事、聞いたことない! 」からイノベーションの予兆をつかむ』を発売。
虎ノ門ヒルズ・六本木ヒルズ・日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムなど講演多数。

高嶋 大介 一般社団法人 INTO THE FABRIC
代表理事
100人カイギ
founder/見届け人

富士通株式会社にて、ユーザー・エクスペリエンスデザイン(UX)、デザイン・リサーチ等を軸に、クライアントやチームの戦略・実行プロセスを支援。
共創の場であるHAB-YUの設立・企画・運営に関わった経験を活かし、2017年に一般社団法人INTO THE FABRICを設立する。
共創の生まれる場つくりを得意とし、コミュニティつくり・イベントの企画運営、人材育成などを行う。ゆるいつながりがこれからの社会を変えると信じ、それを伝える活動を行う。

倉橋 慶次 森ビル株式会社
アカデミーヒルズ事業部 フォーラムグループ課長

1987 年「森ビル株式会社」入社。2003 年に現「アカデミーヒルズ事業部」に異動後、カンファレンスセンター事業責任者として「六本木アカデミーヒルズ」の企画・営業・運営・管理業務を統括。2014 年に開業した「虎ノ門ヒルズフォーラム」については、開業準備責任者として事業採算検討・施設構成・商品/サービス企画・運営体制構築等に携わる。

広告メディア・施設の複合利用例