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虎ノ門プロジェクト レポート ハイブリッド内覧会で分かった、コロナ対策とイベントの未来像

2020年9月に、コロナ対策ハイブリッドカンファレンス実行委員会によって、ハイブリッドイベントのショーケースを披露することを目的に、内覧会が開催されました。
本レポートでは、当日の会場の様子を写真やインタビューで紹介しながら、参加者向けのアンケート結果も公開いたします。

(弊社は会場提供という形で、本委員会に参画)

イベント概要

日時

2020年9月17日(木)

場所

虎ノ門ヒルズフォーラム
六本木アカデミーヒルズ

開催目的

ハイブリッドイベントのショーケース

参加者数

689名
リアル:374名(虎ノ門236名/六本木138名)
オンライン:315名

参画企業数

23社

イベントの実施内容

リアル/両会場共通
・感染防止対策を施した会場の自由内覧
・「イベントの未来を考える」セミナーの聴講
・様々なパターンの配信システムの見学
・コロナ対策製品の展示、直接相談
・コロナ対策仕様のパーティ料理試食、直接相談

オンライン配信
・会場のバーチャル見学
・「イベントの未来を考える」セミナーのライブ配信
・セミナーの配信システムの紹介
・コロナ対策製品の紹介、インタビュー配信
・コロナ対策仕様のパーティ料理の紹介

イベントダイジェスト

参加者は自身のイベントや施設に活かせるアイデアを拾うべく、
真剣な眼差しをステージやブースに向けた。

様々な感染症対策グッズが展示され、注目を集めた。

リアル+配信の2方向からの登壇に対応したハイブリッドステージ

無人かつ非接触の受付は、ニューノーマルを印象付けた。

オンライン参加は315名。同業者も多く参加し、
イベント業界を盛り上げる機運を高めた。

ソーシャルディスタンスを体感いただけるよう、各所テーピングが施された。

六本木アカデミーヒルズでも同時開催。

イベント開催を後押しするべく、ハイブリッドイベントの必要機材には金額が表記された。

開催者にたずねる、開催の狙い・感想

参加者に飽きられないハイブリッドイベントには、
コンテンツクオリティの追求が不可欠

PROFILE

前野 伸幸 株式会社ホットスケープ 代表取締役
実績30年のイベントのプロフェッショナル

多くの大手企業からのミーティング・インセンティブ・各種セミナー・イベントの、企画・進行・運営をワンストップで数多く手掛けている。
その一方で、MICE施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。「虎ノ門ヒルズフォーラム」のコンサルタントを2年間にわたり自らが担当し、さらに六本木アカデミーヒルズも加えた両施設の運営・管理業務も受託。また宮崎のフェニックス・シーガイア・リゾートのコンベンション施設のリニューアルにて、マーケティングリサーチから発注先選定・機材確定や営業戦略策定まで広域にわたるコンサルティングを担当。
施設を貸し出す側と施設を利用する側の双方の立場で経験を積み、そのノウハウを活かして活躍中。

前野「コロナによるイベント開催の制限が緩和されたことを契機に、感染症対策をしながらイベントを開催するデモンストレーションしたいと考えました。ただし、ウィズコロナ時代のイベントがどうあるべきかを、一部のイベント会社が決めるものではなく、主催者や参加者、イベントに関わる様々な会社が議論しながら提案していくのが望ましい。よって、セミナーという一方的なものではなく、カンファレンスと銘打ち、色々な意見をディスカッションする場として、今回開催することにしたんです。そのため、通常の内覧会とは異なり、開催形態を実行委員会形式とし、参加者からのアンケート回答も委員会内で共有しました。それにより、今後開催の主催や運営時の思いや実施に至るまでの注意点なども確認する機会になりました。

開催してみて感じるのは、多くの方がオンラインイベントの有用性に気づくと同時に、リアルイベントの価値を再確認したように思います。安心で安全な感染対策を徹底する難しさや、開催コストへの影響を危惧する声もありますが、ハイブリッドイベントが広がっていく予感があります。

ただし、ハイブリッドイベントやオンラインイベントには注意点があります。例えば今、ライブ配信や記録動画の公開が多いですが、本当に価値あるものでしょうか。おそらく、会場に来ない人は、残念ながら来場するほどの関心がない人とも言えるわけですが、その人にイベントの記録動画をそのまま流しても集中力が続かないリスクが生じます。この場合、プロによって編集されたダイジェスト版を後日公開するといったことも検討できるはずです。もちろんオンラインにはリーチの最大化という利点はありますが、ユーザーに飽きられないような、価値あるイベント体験をオンラインでつくるには相応の工夫やコストが必要です」

プロデューサー:ホットスケープ 前野伸幸氏

コロナ対応に役立つ機器やサービスが多く紹介された。

出展者にたずねる、内覧会での取り組み① 映像制作・配信

ライブ配信の演出は、予算や目的に応じて実現できる

PROFILE

株式会社シムディレクト 公式サイトはコチラ

空間演出に関する企画プロデュース・イベント企画制作・演出・運営などを行う、デジタル演出のプロデューサー集団(商業施設・文化施設・アミューズメント etc)です。

シムディレクトはシンユニティグループの一員です。

長田「私たちシムディレクトは、イベントの企画、演出、運営、空間演出などを行う会社で、プロジェクションマッピングをいち早く手掛けるなど映像制作を得意としています。ハイブリッドイベントへの期待が高まる中で、3D CG配信がどれぐらいの予算で、どういうことができるのかを示すべく今回出展しました。具体的には、グリーンバックのスタジオを仮設し、実際にここからトークイベントをライブ配信しました。

その際、ハイレベルなものとエントリーレベルなものの2種を準備しました。というのも、デジタル領域の複雑なソリューションの場合、目に見えないこともあって、金額の妥当性が分かりにくいことがよくあります。よって、今回は、ハイレベルなものは実績として動画でお見せし、一方エントリーレベルのものは、2,3時間で準備できるスタジオを構築し、また、安価に活用いただける弊社保有の背景画像を複数用意しました。実際に配信すると、どういう機材やチームが必要かをお伝えできたのではないかと思います。

ちなみに、登壇者が1人のイベントならともかく、2,3人がセッションするものなら、ある程度の大きさの会場が必要です。小さいとコストは抑えられますが、円滑な進行が難しくなったり、画面内の登壇者が窮屈に映ったりします。ハイブリッドイベント企画時には、スタジオの設置会場のこともご検討ください」

シムディレクト 長田理香氏

ホールAに設けた、3D CG配信のスタジオセット

出展者にたずねる、内覧会での取り組み② イベント空間演出

飛沫防止用のパーテーションやアクリルボードは、
機能もデザインも充実しつつある

PROFILE

ユタカ株式会社 公式サイトはコチラ

創業時から信念をもって、エコでクリーンなイベントに取り組んでいます。リユース・パーツの開発と環境にやさしい商品を取り入れたイベントを実施するために、企画から運営まで、総合的にサービスを提供しています。

前田「我々ユタカは、各種イベントの企画や運営から、ステージ・美術装飾・看板などの空間プロデュースまでをサポートしています。今回は、飛沫防止用のパーテーションやアクリルボードなどを展示しました。受付や商談、立食パーティー等で使えるコロナ対応グッズを見た来場者からは、設置による安心感やデザイン性について好意的なリアクションをいただけました。

これからのイベント開催では、出入口を分けたり、一方通行にしたりする、強制的な動線の設計が重要です。そうすることで、人だまりを防ぎ、安心・安全なイベント空間を実現できます。ロビーや廊下が狭いイベント会場も少なくないため、会場選定時には空間のゆとりをチェックするのも大事ですね。我々としては、そのイベント空間の中で、最良のコミュニケーションを実現するべく、グッズや機器のご提供でお力添えできればと思います」

ユタカ 前田宏幸氏

立食パーティー用のパーテーション

出展者にたずねる、内覧会での取り組み③ ケータリング

漠然とした不安を払拭できるよう、
具体的な対応法をご提案

PROFILE

株式会社CITABRIA 公式サイトはコチラ

ミシュラン2つ星レストランのレフェルヴェソンスから、ケータリング、バー、ベーカリーという多業種経営をしています。敢えてチェーン展開をせず個店主義。
どの店舗も質の高いサービス・料理・空間・素敵な時間をお客様に提供しております。

村田「私たちサイタブリアは、ミシュラン二つ星の西麻布「レフェルヴェソンス」を始めとするレストランを展開するほか、お客様のニーズにあわせたケータリングサービスもご提供しています。リアルイベントに欠かせない懇親会の開催を後押しするべく今回出展しました。

来場者の皆さんと話す中で、イベント開催時に懇親会も併せて行ないたいというご意向を強く感じました。と同時に、感染したらどうしよう、どういう形態で懇親会をすればいいのか、といった不安を抱えている人も多かった印象です。

コロナウイルスの感染経路は依然究明中ですが、弊社では、口や鼻の粘膜からの感染を撤去的に封じ込める工夫をしています。お客様に安心してご利用いただけるように、弊社が取り組んでいるやり方を具体的にお見せしました」

サイタブリア 村田晃洋氏

楽しく華やか、だけど安全を実現する一手間

ハイブリッド内覧会の参加者コメント

懇親会は工夫して開催したい。
虎ノ門ヒルズフォーラムのゆとりある空間には安心

秋山「普段、学術会議・国際会議の企画や運営業務のコンサルティングを行なっており、過去に虎ノ門ヒルズフォーラムでのイベント開催実績もございます。ウィズコロナ時代にハイブリッドイベントをどう開催すればいいのか知りたくて、今回参加しました。

想像していたよりもソーシャルディスタンスは広いですね。また、一方向の動線設計は安心感がありました。また、虎ノ門ヒルズフォーラムは他会場よりもロビーが広く、人だまりができない点が良いですね。

医学会などでもイベントのオンライン化は進み、ハイブリッド化の流れを予感します。ただ、直接お会いして情報交換する価値は揺るぎません。懇親会などは密を避ける工夫をしながら開催できるようにしたいと思っています。華やかで、なおかつ安心・安全なテーブルコーディネートは素敵でした」

株式会社MAコンベンションコンサルティング 秋山美知子氏

見た目の華やかさはそのままに安心・安全

内覧会アンケートの結果

リアルイベントを半年以内に再開したいと考える人 半分

(実行委員会より)
今回、イベントに参加者のうち、241名に後日アンケートにご協力いただきました。ご回答いただいた皆様、誠にありがとうございます。リアルイベントへのアンケート結果は、下記より全編公開しております。

アンケート結果

上記リンク先では、参加者属性や、満足ポイントはじめ、イベントのオンライン対応の実態、そして、リアルイベントの再開時期・規模などをまとめています。ぜひ、今後のイベント企画の参考にしていただければと思います。

イベント主催者からのコメント

オンラインによってイベント体験が再定義される今、主催者同士の情報共有が重要

PROFILE

藤本あゆみ 参考記事はコチラ

2002年キャリアデザインセンター入社。入社3年目に当時唯一の女性マネージャーに最年少で就任。2007年4月グーグルに転職。代理店渉外職を経て営業マネージャー、人材業界担当統括部長を歴任。「Women Will Project」のパートナー担当を経て、同社退社後2016年5月、一般社団法人at Will Workを設立。その後株式会社お金のデザインを経てPlug and Play Japan株式会社にてマーケティング/PRを担当。

過去に、虎ノ門ヒルズフォーラムで、 『Plug and Play Japan』や『at Will Work』の大型イベントを開催されたことのある藤本様に、オンライン化が進むイベントの今後についてお訊ねしました。

藤本「イベントのオンライン化によって、参加者はどこからでも参加できるようになり、主催者は従来の大型会場に囚われずにすむようになり、可能性は大きく広がったと言えます。現に、私の関わる、『at Will Work』では今まで参加が難しかった地方の方々に、『Plug and Play』では全世界から参加が可能になりました。同時に、日本から世界のイベントへ参加・登壇することも簡単になりました。

一方、主催者としては会場の設営戦略がオンライン化することで、今までのコミュニケーションとは異なる戦略が必要になったと思います。会場という空間を作るところから、様々なシチュエーションを想定して、オンラインにおける”空間”をどう作っていくのか、単にイベントをオンラインで配信するだけではなく全体的なコミュニケーション設計の見直しが問われていると思います。

世界を見てもまだ「これだ!」というツールもない現在だからこそ、様々な試行錯誤ができる時期と捉えて、主催者同士の情報共有が求められているのではないでしょうか」

ハイブリッド内覧会開催後のコメント

ファーストペンギンになって、
沈滞ムードに一石を投じたかった

倉橋「スタートアップの世界では、困難に最初にチャレンジする人に敬意を込めて、『ファーストペンギン』と呼ぶことがあります。荒波や天敵が待ち受けているかもしれない海に飛び込むのですから、勇気がいるものですが、誰かがやらないといけないという使命感の方が強いのではないかと私は思います。今回、ハイブリッドイベントの内覧の会場を設けたのは、そういう思いがありました。そのため、同業者お断り、といったことはせず、参加・出展には門戸を広くしました。また、イベントに関わる皆さんと、今回の内覧に参加した方々の生のご意見や想いを共有するために、アンケート結果も公開させていただきました。すこしでもお役に立てれば幸いです。

時代は、ハイブリッドイベントの普及に向かっています。施設側としては、多様かつ高度なご要望に応えられるサービス開発が課題です。今までのパートナーさんに加え、よりデジタル領域に特化したパートナーさんとも連携し、各社と切磋琢磨する形で、対応力を高めていきたいですね」

 森ビル株式会社 アカデミーヒルズ事業部フォーラムグループ課長 倉橋慶次

虎ノ門ヒルズフォーラムからのお知らせ

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